時間が止まったかのような空間が魅力の待合室

館内の至る所に散りばめられた、ご主人所有の骨董コレクション

みゆき屋の魅力は、外観から見て取れる歴史ある佇まいと、時間が止まったかのように錯覚させる内観にある。

入り口には、ご主人が長年集めた骨董品の数々が綺麗に並べられており、骨董目当てに訪れるお客様も多いのだとか。

みゆき屋名物骨董コレクションが並ぶ館内

骨董と古本が並ぶ博物館のような談話室

館内奥にある談話室には6台のテーブルが並べられ、食事をしたり、読書をしたりもできる。

談話室の壁には骨董コレクションがショーケースに陳列され、さながら博物館のよう。頭上の棚には本が並べられ、いろんな年代の本がある。中には別府や大分の歴史についての本などもあるので、ゆっくり読書をするのも良さそう。

新館と旧館に分かれた自慢の和室

鉄輪の湯けむりを見渡せる人気の角部屋

部屋数は新館旧館合わせて11室。全部和室となっており、1人でゆっくりできるお部屋もあれば、家族やカップルでも楽しめるお部屋の準備もある。

宿を始める前は一般的な民家で、空き部屋を貸し間として活用し始めたのがみゆき屋の宿としての歴史のスタート。鉄輪エリア一体に残っている、規模が小さめの宿は、同じような成り立ちをしているそう。

今も昔も湯治客を迎えるみゆき屋の炊事室

創業から湯治客をもてなしてきたみゆき屋には、足を悪くした湯治客が訪れ、湯治が完了した証拠として持ち込んだ松葉杖を置いていったそう。

今も湯治目的で足を運ぶお客様がいるので、快適に自炊ができる炊事室がある。

2つの貸切露天風呂と、蒸し湯のついた内湯

2つの貸切湯は露天風呂

開放感のある2つの露天風呂はどちらも貸切湯。サイズもちょうどよく、1人でも複数名でもちょうど良いサイズ感。ここから夜空を眺めながら入る露天は季節に限らず気持ち良い。

蒸し湯併設の内湯

天井が高くて狭さを感じさせない内湯には、蒸し湯が併設されている。鉄輪の中でも蒸し湯併設の内湯は珍しく、暗闇の中で石菖の香りに癒される蒸し湯は最高の空間。

創業80年にして現在2代目。この街を見守り続けた女将。

長年の経験からにじみ出るこの場所への愛と、お客様への思い

みゆき屋の歴史を事細かく教えてくださった女将さん。物腰柔らかく、取材で疲れた私たちを気遣い、温泉に入るようにとタオルを渡してくれた。

長い間この街で暮らし、この街の栄枯盛衰を見てきたからこその知見や、お客様に対する思いやりの深さを感じた。鉄輪の歴史に興味がある人は、ぜひ尋ねてみてほしい。

民家から派生した宿の特性を活かしたみゆき屋ならではの空間

初めてみゆき屋を訪れた時、入り口に並べられた骨董品の数々と宿の結びつきを感じることは難しかった。ただ、宿の成り立ちや、関わってきたご主人や女将さんの話を聞いていけばいくほど、みゆき屋の魅力に引き込まれて行った。昔は民家だった場所を、80年前から宿として貸し出し始めた。最初から宿だったわけではなく、ここは人が住む空間だったのだ。

宿のような敷居の高さでもなく、民家のようなゆるさもない。ここは、その中間のような肩肘貼らずに楽しめる宿なのである。

取材日 2020年4月12日
取材・執筆:深川謙蔵
撮影:平末健人